フルーツパラダイスのお肉事情

もうここ3か月は雨が降っていないそうです。

朝5時頃から夜8時までお日様がさんさんと降り注ぐこのイランの大地の果物、お野菜はそれは濃厚な甘みがぎっしり。

トマト、人参は感動美味しさ。生のまま、そのままが一番のご馳走。

果物の種類も豊富で、季節折々の旬の果実をいただくことができます。

 

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夏の今はスイカの最盛期。

日本のサイズと比べると2倍はあるような巨大スイカが街中ごろごろ転がっています。

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10キロはあるようなスイカでも200円程度。

そんな巨大スイカ。色々な種類が置いてあります。

選び方は万国共通。そとをたたいてみて、いい感じの音を探します。

私にはどれも同じ音にしか聞こえないのですが、、

たたきにたたきまくって、数あるスイカの中からこれこそは、というものを選び抜きます。

巨大スイカは切るのも一苦労。それに見合うサイズの包丁なんてありません。

なんとか切り開いたその中に待っているのは、

真っ赤なルビー色に輝くそれは美しい果肉。

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一口、口に運ぶと、、、それは言葉では言い表せないほどの幸福感と満足感が待っています。

からからに乾いた喉と身体を隅々まで甘い水で潤してくれます。

そんなスイカでつくるフレッシュジュースは絶品。

そして、そのスイカジュースでつくったアイスは逸品。

夏の、お日様の恵みを味わえます。

 

イカだけではなく、メロン、モモ、チェリーにブドウも夏ならではの果物。

どれも濃厚な自然の甘みがギュッとつまっています。

 

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忘れてはいけないのがデーツ。

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甘い甘い、はちみつよりもお砂糖よりも甘いその果物は、種類、熟成度によって味も用途も様々。

ヨーグルトと食べるのはもちろん、卵と一緒に焼いたデーツオムレツはそれは絶品。

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そんな果物たちがずらっと並ぶのがマーケット。

農家からそのまま運ばれてきた新鮮なお野菜が並びます。

 

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それを買い求めるイラン人。

買う量が半端ではありません。

全て最低一キロ単位。

人参は約30本。インゲンなら約100本。

どれだけの大家族か、と思わせるほどの量を一度に購入します。

 

お肉はイラン人の大好物。

イスラム教なので豚肉は厳禁。鶏肉、牛肉、そして羊のお肉が並びます。

ここでひき肉の合い挽きというと、牛肉と羊が混ざったものを指します。

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ハム、ソーセージも豊富。お野菜を混ぜたもの、部位の異なるもの、熟成度の異なるものなど、数十種類もの肉加工品が並びます。

食べてみると、豚肉のハムと変わりません。

 

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なんだ。

豚肉の味も好きなんじゃん。

 

食べられない代わりに、似たような味のものを工夫して作り上げているようです。

 

魚は、見たこともないような巨大魚がずらりと並びます。

エビは白が基本。

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外では色々な制限があるからこそ家庭では自由に楽しむ。

家庭料理が、その素材が。何よりも大切だと考えている、そんなイラン人のおなか事情が、マーケットでは垣間見ることができます。

 

ヨーグルトとチーズとナンとパン

イランの食糧事情。ベーシック編。

 

イランの乳製品の充実度といったらそれは日本とは比べ物になりません。

乾いたこの大地に、牛がいるところを、農場をみたことがないのが不思議なぐらい。

 

まずは牛乳。

各地方に3,4銘柄を揃え、それぞれ乳脂肪別に商品を揃えています。

銘柄によって微妙に味が違うのがポイント。そしてお店でも日によって仕入れる銘柄が異なるのもポイント。

 

ヨーグルトの種類はもう数えきれないほど。

メーカーで数えると数十社。そこに家庭でつくりました、的な。簡易容器に入った無名のものを入れると、小さな商店でも常時10種類程の品ぞろえ。

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基本はプレーン。

それにエシャロット、ガーリック、ハーブ等々を加えたフレーバーヨーグルト。

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そして何より人気なのがヨーグルトドリンク。

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基本ヨーグルトはご飯の時に一緒に食べるもの。

なので、甘いデザートヨーグルトはあまりみかけません。

酸味と塩加減、口当たりで自分の好みのものを探します。

 

サフランライスに少しのドライチェリー。トマト系の味に似こまれたチキンにヨーグルト。一緒に食べると、そこには新たな味覚の世界が広がっています。

 

そして、それを上回る数を揃えるのがチーズ。

クリーム、フェタ、モツァレラとかだけではありません。

味、硬さ、口当たり、塩加減に水加減。

朝用、昼用、おやつ用に晩御飯用。

朝用だけで20種類程。

つまり80種類程のチーズが常時スーパーにはおいてあり、それぞれの好み、気分によって食べ分けているわけです。

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フルーツと一緒に食べることも多く、スイカとチーズ。ブドウとチーズは絶品。

カラカラの体にみずみずしい果物とチーズの塩気が一日の終わりに心身ともに癒してくれます。

 

それにからんでくるのが主食。

パン。ナン。粉ものたち。

一区画にひとつはパン屋さんがあるほど、焼き立て、できたてのパン、ナンにこだわるイラン人。

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それぞれのナン屋さんには特徴があります。

ナンの硬さ、大きさ、小麦の分量と種類にトッピングの種類。

そして最も特徴的な違いが石窯の種類。

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いまだに火を使う本格的な石窯を使っているナン屋さんが多く、また小石を敷き詰めた昔ながらの石窯を使っているところも。

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大きさはだいたいA3用紙二枚分程度。

それを一回に5枚も6枚も買っていきます。

どこのナン屋さんも朝6時頃から夜の12時頃まで休まず営業。

自分の頼んだ分だけ、その場で焼いてくれ、そしてそれを自分で好みの大きさに切って持ち帰ります。

 

 

日本でいう食パンはあまりメジャーではなく売っていても味はそこそこ。

いわゆるナンがイランでいうパン。

そしてパンというとホットドッグの形状のものやフランスパンのような形状のものを指します。

そのパンたちは。それはそれはまた美味。

フワフワしっとり触感のものから、外はカリッと。中はふわっと。小麦の味わいたっぷりのパンまで種類は豊富。

日本のように香料を使っていないからこそ、素材の味そのものを味わうことができます。

 

外では何かと規制の多いイラン。

そんな中、自由に過ごせる家庭にこそ、本当のイラン料理に出会えるチャンスがあります。

魅惑の迷路

イランの夏は暑い。

40度から45度まで気温があがることもあります。

日中、10時を過ぎると外にいることは体力を消耗するだけではなく、食べ物も、道路も、プラスチックやタイヤまでもすぐにボロボロになってしまいます。

人間だけではなく、身の回りのものを守るため。そこには魅惑の迷路があります。

 

どこまでも続く屋根付きアーケード。

巨大トンネル。

洞窟ショッピングモール。

そう、どの街にもひとつはあるバザール。

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天井を見上げると、それは見事な装飾で飾られ。天窓からは程よい外光。それに合わせてほどよく入って来る空気は、ほこりや熱を循環させ、バザール内を心地よい空間にしてくれます。

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人びとで賑わうバザール。

そこでお店を構え続けることはある一種のプライドを持ち続けることでもあります。

生地屋街、道具屋街、ジュエリー街にスパイス街。

その角を曲がった先に待っているのは、ありとあらゆるものを取りそろえた商店。

 

より品質の良いものを、そしてその価値に見合う適正な価格のものを探す人びとの目は厳しく、店ごとの差は明らか。好みによって、これを買うのは、このお店。でもこっちを買うのはこのお店。

店主の人柄もみながら、人びとは商品を購入していきます。

生まれ持った商売人の血がそうさせているのかもしれません。

 

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経済制裁で海外とのモノの交流が著しく難しくなった今、それは逆にイラン国産品のもの発展促すことになりました。

器用な指先と、商売っ気と。そして柔軟性を持っているからこそ、今まで使っていた海外製品と同じ、それ以上のものを作り出しそしてバザールでも売る。

今や航空機の部品さえも自前で作れるほどの技術をもったイラン技術者。

そんな人々の生活を支えるバザールにはイラン製のものであふれています。

 

無くなってしまったものを嘆き、悔やみ、羨むのではなく、それはそれとして前を向き続ける。

まっすぐに前を見る、意思の強さをもった人びとが集まるバザール。

そこに溶け込めば溶け込むほど、不思議と自分自信を奮い立たせる何かを得られるかもしれません。

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真夜中のピクニック

私の好きな小説のタイトル。

これを地でいくのがイランのピクニック。

家族思い。友達思い。おしゃべり大好き。お茶とお菓子はもーっと好き。

そんなイラン人にとって、ピクニックはコミュニケーションをとる大切な場でもあり、生活の一部でもあります。

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イランの夏の昼間はそれは暑くて。

いや、今考えると東京の夏の方が暑くて何倍も不快だと感じるのだけれども。。

それでも暑さをなんとか避けて生活をしたいイラン人。

日中、人が消えます。文字通りのゴーストタウン。

動いているのは車だけ。歩いている人はほぼいなく、それはまさにシャッター商店街。太陽のまぶしい日差しにてらされて、砂ぼこりの舞う様は、それは廃墟に迷い込んでしまったようなそんな気にすらなります。

時間がすぎ、夕暮れ時。

18時を過ぎた頃からシャッターの開く音が聞こえ始め。

どこからともなく人々がやってきて。街は息を吹き返す。血が通う。

 

色が甦る。

 

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日没を過ぎた頃、街はそれまでと全く違う様相。

歌舞伎町に勝るとも劣らない照明。色とりどりに着飾った人々。

 

街のあちこちにある芝生では、絨毯とお茶とお菓子を持ち寄ってピクニック。

え、こんなところでも、というところでも。

いたるところでピクニック。

 

そう。高速道路の脇の芝生でも。

幹線道路の真ん中の芝生でも。

 

みんなで円になって、時間を、涼しい空気を楽しむ。

日中のうっぷんをはらすように、外を楽しむ。

 

そこにはくったくのない笑顔と、リラックスした空気と。

子どもたちの走り回る姿と、それを見守るあたたかい空気が流れます。

 

赤ちゃんも子どももおばあちゃんもお父さんも。

カップルも友だち同士でも。

毎日深夜1時過ぎまで。

 

そこには平和な時間とまろやかな空気と、

喧騒と、そして少し残った日中の暑さが入り混じった。

それがイランの真夜中のピクニック。

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色とりどりの世界

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イランについて。そして私の来た街、シラーズについて。

 

イラン、イスラム共和国。

人口約8000万人北にアルマニア、アゼルバイジャンアフガニスタンパキスタンを東に、西にイラク、そしてトルコと国境を接する国。

北にカスピ海、南に今ニュースでよく出てくるホルムズ海峡を持つ日本より約4倍ほどの面積を持ちます。

首都はテヘラン。そこから飛行機で約1時間少し南に行ったところにあるのが、シラーズ。日本で言う京都に似た感じの趣を持つ、バラと詩と、美しいモスクが点在する観光地。

 

イランでは禁止されていること、推奨されていることがはっきりとしていて。

それは旅行客にも求められています。

一番分かりやすいのが女性の服装。

おしりが隠れる丈の上着。七分袖以上、フルレングスのパンツ。スカートはNG。

そして何よりも特徴的なのがスカーフ。ヒジャブと呼ばれている、あの髪の毛を隠す為のスカーフ。

色々な種類のヒジャブがある中で、イランはとっても緩い方。

もちろん人の好みにもよるけれども、とりあえず布が頭にかかっていたらそれでOK。顔は隠さなくて良いし、色も柄も大きさも自由。

お店には色とりどりのスカーフが並び、街を行きかう人々はお洋服とアクセサリーと一緒にファッションを楽しむ。街は色で溢れます。

 

男の人はもう少しシンプル。

フルレングスのパンツ。それだけ。

 

服装が決められているから何となく敷居が高いと感じてしまう、それは私も最初そうでした。

 

食べ物は完全にハラール

豚肉、アルコールは一切NG。

ケバブと、おこげと、何よりお茶を愛する、自然派の食事を楽しみます。

 

ここシラーズは、バラが咲き乱れる公園と、タイルが美しいモスクが点在している街。

大学と、有名な詩人が住んでいたことから、観光客と、ローカルが程よく交差するのんびりとした田舎街です。

その中でも一番有名なのは、ピンクモスク。ステンドグラスから差し込む明かりが絨毯にうつる様子は一見の価値アリです。

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そして、昔々はここのちかくでおいしい赤ワインをつくっていたそうで、シラーズワインの名前はこの街からとられているようです。

 

イランの中でもあらゆる色に彩られたシラーズ。

そこに住む人たちは人懐っこい笑顔で溢れています。

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醒めそうで覚めない夢

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ひょんなことからイランに住むことになりました。

イラン。

イラクとは違います。イランです。

 

イスラム教。
核。
へんなターバンみたいな布をぐるぐる巻いた怖い顔のおじさんたち。
濃い顔。

女性蔑視。
黒ずくめの服。

抑圧された薄暗い街、人、生活。

そんなかんじでしょうか。
私も来る前まではそんなかんじでした。

でもね。
百聞は一見に如かず。
前情報からこれだけ覆された国は今までありませんでした。

色々な国に行って、できるだけ生活者に触れて。その国の文化を、人々を、毎日の生活を知ろうとしてきたけれども。

これだけ長い歴史と豊かな文化と、繊細な芸術とあたたかな人がいるところは初めてきました。

家族からは大反対され。
友達にはあきれられ。
それでも何かをかけたい、これをやらずに私の人生終わらせることなんてできない。
そんな強い気持ちになりました。

30代後半無職独身女。
これだけ並べると絶望感しかない私の胸にはそれと同じぐらいのワクワク感があります。
これから先の生活がどうなるかは想像もつかないけれども。
でも今の実情と、私が感じることとを書いていきたいと思っています。